今日はお使いを頼まれて、流星街の外まで行く事にな
った。


初めてのお使い。


頼まれたと言うよりは、もぎ取ったと言う方が正しか
ったけど。


フェイタンに手を振り、意気揚々と歩き出す。


ここは、一番近くの町。その側まで送った後、フェイ
タンは仕事のある違う場所へと行くらい。

帰りは喫茶店「道化師」で待ち合わせだ。
なんとも嫌なネーミング。
ヒソカを思い出す名前だ。




最後まであまり良い顔はしていなかったけれど、何と
か説得し、今日の日がある。
失敗したら、お使いは二度無しになってしまう。


お使いの内容は、明日からの食料や日用品の調達。
それに、自分の洋服。
折角だから、お菓子屋さんでケーキでも買って帰るの
も計画の内。


フェイタンには内緒だけれど・・・。



暫く進んで行くと、スーパーが見えてきた。隣には服
屋に雑貨やさんもある。



「これなら失敗は無いでしょう!!」








一通り買い揃え、最後にお菓子屋さんへ行ってケーキ
を買えばおしまいだ。


無事にお使いが済んだ事に浮かれて、お菓子屋に駆け
込み。はビックリして急停車。荷物ごと
床の上に転がってしまう。
でも、その時打った膝の痛みよりも、ケーキのショー
ウィンドウの脇にある、様々なお菓子が並んだ棚を眺
めている少年を目撃した驚きにくらべたら・・・・。



凄い音で転んだため、その少年も此方を見ている。
面白いおもちゃを見る様な目だ。



「・・・ヒソカ・・・・・・」

は口の中で呟いた。



少年は既にあのペイントをしていて、斜めから見ても
横から見ても、あのヒソカにしか見えない。



ニヤ



は反射的に目をそらし、逃げる場所をキョロ
キョロ探しまくった。

「ぅぅ」


ついてない!
まったくついていない!!!

この店に寄らずに喫茶店へ行けば良かったのだ。



「ぅぅぅぅ」

何故だろう。
涙がこぼれちゃう!!!!

隠れる場所なんて、見渡しの良いこの店内。

何処にも有りはしなかった。

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「ねぇ君、随分派手に転んだね」



クスクスクスクスクス



こんな子供の時から変態オーラがにじんでいる。

此処に来て以来ずっと会っていなかった為か、慣れて
きていたこのオーラに耐性が衰えた様だ。


「・・・・。あっ、お騒がせしてすみません」



立ち上がると、見ていた店の物全員にお辞儀する。

ヒソカはそれを見てまた笑っている。


「君、何歳?年上には見えないね★」



「絶対、私のが年上です」



「ふーん♪」


楽しそうに言っているが、何を考えているか分からな
い。
は挙動不審になりつつも、折角来たのだから
ケーキをいくつか買って帰る事にした。


「ショートケーキと、チョコレートケーキ、チーズケ
ーキを三つずつお願いします。あと、タルトを2つ」


少し大目に買えば、他の子が遊びに来ても大丈夫だろ
う。


お店の人が包んでいる間にもヒソカはジーッと
を見つめてくる。

気になるけれど、見たら怖そうで見れない。

は、ひたすらお店の人を睨みつける様に見続
けた。

「ありがとうございました」


会計を急いで済ませると、袋を素早く受け取り、店員
の声を後ろに聞きつつ店を飛び出した。
興味を持たれる前に退散しよう。にはフェイ
タンとの約束がある。
この買い物中は知らない人と(知っているけど)深く
関わらない。

破ったら・・・・・。


「うぅ・・・」

お使いはもう無し。
そんな事にはなりたくない。




そのままのスピードで暫く進んで行く。
もう随分歩いてきた。そっと、後ろを振り返ってみ
た。

「ねぇ。無視する事ないじゃないか★」


「・・・!!」

はうあ!!



既に興味はもたれ済み。
変に意識したのが面白く見えたのだろう。


「あぁ。ごめんなさい、人と約束してて急いでた物だ
から」


自然な笑みを無理やり顔に貼り付け、小道に逃げ込み
たいのを必死で我慢する。


「へぇ。何処で?」



「喫茶店。「道化師」で」


「ふ〜ん」

差ほど興味が無さそうに頷くヒソカに、内心ホッとし
た。


「じゃぁ「そうだ、僕もそこに行く途中だから、一緒
に行かないかい?」



「・・・・・・・」



はぁ。


は内心大騒ぎ。心臓が大暴れしている。



「わっわかりました」



手をモジモジさせて心を落ち着かせると、ニッコリ
と頷いた。



(ああ。フェイタンが着いてませんように・・・)

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「へぇ。君も念が使えるんだね」



(ええ。君が師匠です)

何て言えるわけも無く。
「うん。少しだけど・・・・」


口調も砕けて、オーラにも慣れてきた。
ヒソカは最近念を覚えたそうで、それにしてはオーラ
が鍛えられている。


旅団もヒソカも凡人とは違うのだろう。


「ちょっと戦わない?」


やりあうと言われなかっただけましだが、その言葉
は、のノミの心臓を跳ね上がらせるには十分
すぎる。



「ぜったいいややややです!!!」


どもりながらは駆け出した。


もう半泣きだ。



「くっくっくっ♪」




調度いい事に、喫茶店までは距離も無い。


一気に加速して店の中へと逃げ込んでいった。







まだフェイタンは着いていない様だ。



窓際の席に座ってホッと一息ついたのも束の間・・・。


コンコン


窓が叩かれた。


「なぁ・・・・」



あごをあんぐりと開けている内に、店内へとヒソカ
がやって来た。



「ねっ、もう戦おうなんて言わないからさ★」

子供らしい顔。
何て事だ!の目は多きく見開かれた。




少し話しぐらいしても・・・・。

気持ちがクラングランに揺れまくる。



「ちょっとなら・・・」




「ありがとう◆」

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それから少しの間たわいの無い会話をしていたが、
もそろそろ時間的にやばい。

このままじゃ、鉢合わせ・・・・・。


シャレにならない。


「そろそろ相手が来るからごめんね」



「・・・・・。そっか仕方ないね★」



以外にあっさりだ。


「でもさ、又会ってよ★」



「わかった。」


ヒソカは何かメモをテーブルに置くと手を振って去っ
ていく。



どうやら電話番号らしい。


(何だかナンパみたい)



そんな感じに子ヒソカとの遭遇終了!





数十分後・・・・・・・・




「この紙なんね!!!!!」


もちろんフェイタンに見つかってみっちり聞き出され
だった。



「お使いは暫く無し思とくと良いよ」


「・・・はい。」


「またく、ナンパには気をつけるように言たの聞いて
なかたか?」



「ごめんなさい」


こんな会話がひたすら1時間は続けられる事になる。




7/29 梓榮





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あとがき

2万ヒット感謝夢です。
フリー配布ですので、ぜひお持ち帰りください!
ですが、HPに貼って下さると言うありがたい方が居
ましたら、名前とサイト名の表示をお願いします。
そんな方いらしたらですが;
報告はしなくても良いですが、して下さったら嬉しい
です^^
アンケートの結果、番外と言う事で。
子ヒソカとの遭遇にしました。本編に書いても良かっ
たのですが、本編では出会い済みで出て来ると思いま
す。
が、忘れていたりしてどうなるか謎ですし、過去編で
は子フェイタンがメインの旅団中心なので、ここで
初遭遇は書いてしまう事にしました。

長くなりましたが、2万ヒットありがとうございます。

これからも桜花蓮華堂をよろしくお願いします。